👆 チョー立派な門構え
でも、大将はすっごく優しい
ビンセントが香港へ帰国し、また日常が戻って来た。
そして、ここ数日、不思議なシンクロが続いている。
足の裏に大きな〝タコ〟ができていたのだ。
香港にいた頃は、角質取りをしてくれる親方のもとへ、
定期的にタコを削ってもらいに通っていたのだが、
日本にはそんなサービスなど無く、放っておいたら、
歩く時も親指の付け根がズキズキ痛むようになった。
どうしたもんかなあ、と思っていたある日、
電動自転車で天神橋筋を走っていると、突然、
作業着姿のおっちゃんが、僕の前に立ち塞がった。
慌ててブレーキを踏むと、そのおっちゃんは、
ニヤッとしながら、向かいの刃物店へと入って行った。
歴史のある、由緒正しいっぽい刃物店で、
ブログ用の写真にいいかも、と僕も自転車を止め、
店先にあるショーケースを覗いてみることにした。
彫刻刀、包丁、ヤスリ、鑿、等の刃物類に混じって、
足の裏の角質を削る道具、なるものが目に留まった。
早速店内に入り、大将に言って商品を見せてもらう。
聞けば、大将も愛用しているドイツ製の優れもの、
ということで、使い方を丁寧に教えてくれた。
さっそく購入して、家のふろ場で試してみた。
うわっ、削れる削れる、大量の角質と共に、
20分ほどで両足にできていた大きなタコが消えた。
👆 何とも昭和なパッケージ。ゾーリンゲン製。
そのまま風呂に入り、すっきりして出てくると、以前、
台湾語を習っていた先生からLINEが入っていた。
日本語教師の学校の卒業はいつか、と訊かれたので
4月15日だと返すと、いま自分が中国語を教えている
語学学校で日本語教師の欠員が出たのだが、
そこで教えてみる気はないか、という。
聞けば、新しい教師を探していると聞いた時、
なぜかふと、僕のことが頭に浮かんだのだという。
以前台湾の学校に応募したときみたいに、
また年齢で落とされるのだろうな、と思いながらも、
履歴書を送ったら、金曜日に採用試験を兼ねた
模擬授業をすることになった。
しかも、先方が指定してきた模擬授業の内容が、
僕が学校の試験で行なった授業と同じ個所だった。
これまら、以前、先生から授業の修正点を教えて
もらっているので、完璧にできる自信がある。
それに、正式に台湾へ行くのは秋以降となるため、
それまで日本で経験を積んでおくのもいいかも、
と思い、面接を受けることにした。
👆白いトートバッグを肩にかけた彼曰く、
「今回、社会人になって初めて一人暮らしを
するんですけど、ちゃんとした包丁が
欲しいなと思って…」
それで、今日、日本語教師養成の授業へ行ったら、
そこの学校の担当者の知り合いが、
台湾で日本語学校を立ち上げることになり、
教師を大募集しているんだけどどうか、と言われた。
ふと天神橋筋を通ったら、おっちゃんが立ち塞がり、
ふと習いに行った台湾語の先生から、教師に推薦され
ふと学校へ行ったら、台湾で教師大募集の話をされた。
ネパールへ行く話もそうだけど、
なんか兄弟たちが、寄ってたかって、
僕を何とかしようとしてくれているように思え、
その優しさに感謝と愛が込み上げてきた。
実際、僕は何もしていないのに…。
抵抗をやめ、起きることに委ねてじっと動かずにいると、
やがて、周囲が動き始める。
そして、何が起こったかにフォーカスするのではなく、
周囲の兄弟たちの愛と優しさに震える。
たとえどんな選択をしたって、僕には兄弟がいて、
きっと彼らが僕を愛で導いてくれると解かっている。