イースターの連休が始まった。
来週の火曜日まで5連休なのだが、
僕は3月の財務諸表の締めがあるので、
連休最終日の火曜日に出勤し、
その代わり、9日の金曜を振替休日とした。
5連休を一気に休んでしまうより、
4連休と3連休に分けた方がおトクだ、と踏んだ。
思い切って、この間は、筋トレも休むことにした。
ワインや食料を買い込み、家にお籠りをして、
いまも深夜まで小説を書いて過ごしている。
報道番組、特にワイドショーを見なくなってから、
自分の内面に深く入り込めるようになり、
創作活動に専念しやすくなっている。
やはり、外で起きている事象を遮断したことで、
内側へ向かいやすくなっているのかな、と思う。
話は変わって、
先日、香港支社をクローズする話を書いたが、
まあ、自分としても秋ごろには日本へ帰任し、
早期退職をしてのんびり暮らそうと思っていた。
そんな折、日系の人材会社からメールが来た。
日系商社で財務部長を募集しているという。
駐在員ではなく現地採用で給料はHK$45,000-
と悪くはないが、現地採用だと家賃が出ないので
ここから家賃を差し引くと、いくらも残らない。
それに、突然解雇される可能性だってある。
これは無いな、と思いつつ担当者に電話をした。
担当のM女史は、仕事内容をザっと説明した後、
「語学が堪能な星谷さんのキャリアですと、
お給料はまだ相談の余地があると思います。
一度面談だけでもされてみてはいかがですか。
話を聞いてから断っても遅くはないと思いますよ」
と、お見合いを勧める親戚のおばちゃんの如く、
「会うだけでも会って見たら?
イヤならいつでも断ればいいんだからあ」
を繰り返す。
それもそうだな、と軽い気持ちで面接を受けた。
当日、ホンハムにあるオフィスへ向かった。
日本人総経理の方に出迎えられ、あとは、
大阪本社の本部長さんがZOOMで参加された。
仕事内容を聞いて、余裕でこなせる、と思った。
オフィスも6人で少人数だし、雰囲気もいい。
規模も、仕事内容も、今の会社と殆ど一緒だ。
先方も僕のキャリアをすっごく気に入って下さり、
最後はお給料の交渉のみとなった。
現地採用でHK$45,000-の給料は破格だった。
多分現地採用で出せる、これはMAXの金額だ。
しかし、世界一家賃の高い香港で、
この給料でやっていくには、
住居のグレードを下げなければならない。
それに、半分日本帰任モードだったこともあり、
「〝しかたなく〟の転職ではなく、
前向きな転職をしたいと考えておりますので、
できれば今と同じか、それ以上頂きたいです」
と僕は答えた。
前向きに検討しますと言われ、面接は終わった。
それから一週間後、
「先方が再度新たな給与を提示されてきました」
とM女史から電話があった。
それは、前回提示されたHK$45,000-より、
数万香港ドル上乗せされた金額だった。
訊けば、本部長さんが大変僕を気に入って下さり
本社役員会で掛け合ってくださったのだという。
この額なら今のアパートに住み続けられる上に、
生活の質を落とさず香港で暮らしていけるだろう。
現況の駐在員の待遇には及ばないものの、
コロナ禍、自身の年齢、給与相場、と、
企業が次々と香港から撤退する中にあって、
これはもう奇跡としか言いようがない。
M女史もこんな案件初めてだと興奮していた。
そんなわけで、ここへ来て突然、
香港残留の道が開けてしまった。
日本へ帰任し、失業保険をもらいながら、
創作に専念した後、台湾へ行くか、
それとも、コロナ禍が落ち着くまで香港に残り、
その後に台湾へ行くか、
二つの選択肢の間で逡巡することになった。
ああ、
また二年前と同じことが繰り返されている…。
でも、二年前と違う点は、どちらを選択しても、
自分は正しい道にいて、いつでも愛に満ちている、
と分かっていることだ。
それに、そこまでしてでも僕を獲得したい、と、
ご尽力くださった本部長さんにも愛を感じるし、
これだけの報酬が欲しい、と、自分の本音を、
きちんと表現できた自分も誇らしかった。
なぜなら、結果がどうであれ、ちゃんと相手に、
〝本当はこうしたい〟と伝えることは、
自分に対してとても優しい行為だと思うからだ。
👇前回の日本帰任騒動の始まりから顛末まで。
この時も魅惑的なオファーが来ていたが
当時の僕はこの動揺を恐怖として見ていた。
だが、今の自分は全てを愛で受け容れている。
ただ、
どちらの道を選択しても正解だと解かっていても、
必ずどちらかの選択をしなければならない。
新しい会社も愛に満ちているし、
日本での暮らしも、豊かさと平安に満ちている。
どちらを選択しても、神が在り、愛の道である。
なぜなら、僕の内側に愛が満ちているので、
どこに行っても愛しか映し出されないからだ。
しかし、夢の現実の環境は大きく異なる。
例えば、
すっごい嫌なヤツがいる、とか、
どうしてもお金を稼ぎたい、とかだったら、
決断は早いのだが、どちらも同じくらい大好き
という中での選択は本当に難しい。
選択とは、優劣があるからこそできるのだ、
と、今回つくづく思った。
しかし、
本当に有り難いなあ、みんな優しいなあ、
としみじみ愛を感じながら、こうやって、
選択に迷っている自分をとても幸せに思う。
なので、自分が映し出した世界に敬意を表し、
この連休中、真剣に考えてみることにする。