今日の香港の気温は摂氏17℃。
香港にもようやく秋の気配が漂い始めた。
11月の香港は、爽やかな秋晴れが続き、
最も過ごしやすい季節となる。
仕事も卒業することだし、あちこち出かけて、
最後の香港の秋を思い切り楽しむつもりである。
今日は、今この瞬間に在る、平安に任せる、
を意識しながら一日を過ごした。
過去のことや少し先の未来のことに思いが至ると
すぐに今の平安からずり落ちてしまうので、
意識的に背後の平安に委ねる感じで過ごした。
平安に委ねることは、神に委ねることでもある。
そこには、愛そのものである本質の自分がいて、
何があっても大丈夫だと心底思える。
今日は、最後の納税申告の書類を作成した。
別の国への移民や母国への完全帰国など、
香港を離れ、別の国に定住する人は必ず、
全ての税金を清算してから出国せねばならない。
申告をしてから一か月くらい後に、
自宅に納税通知書が届き、
それを持って税務署へ直接支払いに行く。
僕は6月から現地で給料を貰うようになった為、
所得がかなり増えていると思われ、
今から納税通知書の金額を見るのが怖い。
また、
強制積立金の解約手続きの書類も用意した。
強制積立金は、毎月の給料から5%天引きされ、
会社も同じ5%を供出し、積み立てられる。
これを銀行やファンド会社が運用し、
65歳になった時に全額受け取るしくみだ。
退職金も年金もなく、転職する人が多い香港では
この積立金がいわば老後の資金となる。
しかし、僕は日本へ完全帰国してしまうため、
65歳を待たずに受け取ることができるのだ。
このお金を受け取るには、民政署へ赴き、
私は二度と香港に住んで働きません、と
担当官に宣誓をしなければならないのだが、
宣誓をしても、永住権はなくならず、
また再び香港で働いてもいいし、住んでもよい。
なんとも、不思議な儀式である。
と、こんな感じで、香港を離れる準備が始まった。
もっと寂しさが込み上げてくるのかな、と思ったが
そうでもない。
なんかもう、やり切った感の方が大きい。
足かせがなくなり、素の状態になったいま、
これからは、今の平安に任せ、
兄貴が置いた目印に沿って進んでゆく。