香港さんといっしょ!ー純粋非二元で目醒めを生きるー

欲望都市香港で覚醒した意識で生きることを実践中。今回を最後の生にするための日常を綴っています。

シュッと駆け抜けたもの

編集者と打ち合わせのために訪れたバーで、久々にシャンパンを飲んだ。

シャンパンとはいつも相性が悪く、すぐに悪酔いしてしまう。

今日も頭が痛くなり、早々に帰宅した。

家に戻ってから短編がひとつできた。


『シュッと駆け抜けたもの』

いつものように〝枯葉のバー〟のカウンター席ででバーボンを飲んでいると、

隣りにいた年配の男と、若い男との会話が聞こえてきた。

「僕はそんなことを言っているのではないんだ。

決して決して、そんなことを言っているのではないのだよ。」と年配の男が言った。

「じゃあ、どんなことを言っているというのですか。」と若い男が訊いた。

「それはだな君、どうすれば終われるかについて語っているのだ。」

「そんなの無意味ですよ。だって初めから終わっているのだから。」

「なんだと、生意気な。」

「そっちこそ。」

「俺はまだ何にも終わっていないと言っているんだぞ。」

「僕は、はなから何も始まっていないと言っているんです。」

「こしゃくな!表に出ろ。」

「よし。望むところだ。」

ばんっ、とカウンターに両手をつき、2人が起ち上がった瞬間、

彼らはお星様に変わり、彗星のように光りながらシュッと出て行ってしまった。

(※小説『ジンジャー・タウン』より抜粋)