ううっ。
とうとう来てしまった所得税支払の督促状。
香港では、まず会社が政府に社員の年俸を申告し、
税務申告自体は、年に一度、個人が自分で行なう。
その後、税務署から支払命令書が個々の家に届き、
小切手を税務署に郵送する。
香港では全ての個人情報がIDで管理されている為、
脱税をすれば、出国を止められ、行方をくらましても、
土地が狭いので、次の職場で容易に発覚してしまう。
僕の場合、給料自体は日本から出ているのだが、
法律上は、日本または香港のどちらか一方で
納税すればよいことになっているので、少しでも、
日頃お世話になっている香港のお役に立てればと、
香港で納税することにしている。
それに、給料から勝手に天引きされる日本より、
お金が余れば、市民に現金を還元する香港の方が、
ずっとフェアだと思ってもいる。
数年前には、税金が余り過ぎた、ということで、
1家庭 3,000香港ドルまで電気代が無料になった。
すると、少しでも長くタダで過ごそうと、
多くの人たちが節電しはじめたのだ。
しかし、納税書の額を見て、びっくりくりくり!
ああ、兄貴、幻想だと言ってくれ!
幻想やったら、払わんでもええんと違うん?(アホ!)
いつもエアコンつけっぱなし、電気つけっぱなしの僕。
ヒゲを剃ってるときも、シャワー出したままだし…。
一時帰国も控えてるので、節約に励みますわ…。
今日は、ずっと、
過去の小さな出来事からストーリーを飛躍させ、
怒りと憎悪を増幅させる、というのをいくつか赦した。
僕がまだ20代だったころの出来事だ。
会社の倉庫で、会計士さん立ち合いのもと、
棚卸監査をしていたとき、
隣にいた香港人のマネージャーから、
「おい。脚立持って来い!」と言われた。
咄嗟に、言われた通りにしたが、彼の言いように、
後ですごくムカついた。
こんな昔の、取るに足らない日常の出来事。
起こっていたことすら忘れていた。
それがなんで今?
なんでこんなに怒り狂っているのだろう。
それに、顔もうる覚えの、二度と会うことのない
マネージャーが、なんでこんなに憎いのか…。
この憎悪をじっと感じ、観察してみる。
父への狂った憎悪を、こんなのに転化している。
結局は、自分の中の一つの憎悪だったのだ。
ちょっと思う。
僕たちは過去の記憶をしょっちゅう思い出すが、
記憶って本当の本当に起こったことなのだろうか。
起こったことだとしても、いまはもうないもんなあ…。
それにこの〝脚立持ってこい事件〟だって、
マネージャーや会計士も覚えてなんかいないだろう。
ということは、起きてないのと同じじゃないか。
ここでは何にも起きてない。
決断の主体のいる場所で、全体がやっている。
その全体でやってることさえも無だった。
かーっ!
脱力…。
〝決断の主体が平和でありますように…。〟