夜、道ばたで寝ているおっちゃんがいるのだ。
ホームレスの人たちは普通、
重装備で冬の夜を乗り切ろうとするものだが、
彼と言えば、
段ボールの中に入って寝るわけでもなく、
風よけになるスペースに潜り込むわけでもなく、
氷点下の日でも道路上に身ひとつで横たわっている。
僕は、深夜にジムへ行くとき、彼の前を通るが、
どうしても彼のことが、神様にしか見えないのだ。
ここ南森町一帯を守ってくれている守り神、というか、
住人たちの、様々な負の想いを受け止め、
浄化してくれる精霊のような存在に思えてならない。
なので、時々、ワンカップを彼の近くに置いたりして、
いつもご苦労様、と〝お供え〟(笑)をしている。
よく「アイツ、何の役にも立たない」と言ったりするが、
役に立ってない人なんて一人もいない、と思うのだ。
人に迷惑をかけたり、人の世話になっている人も、
何か大きな意図の中で、そこにいるのかもしれない。
ていうか、なんでここで、こうやって生きているのか、
さえよく分かっていない僕達に、
他人の存在価値なんて云々できる訳がないではないか。
仕事ができない人、文句ばかりで何もしない人、
偉そうな70歳くらいのジジイ(誰のことや!)、
自分たちの理解をはるかに超えたところで、
彼らは完璧に役をこなしている。