👆 中国銀行本店のビル
今回の国家安全法の制定は金融にも影響が出ている。
香港ドルの価値が下落する可能性が出てきたのだ。
それに、中国が金融機関をコントロールし始めれば、
香港の銀行や証券会社の自由性も失われる。
突然、政府の発令で、個人の財産が凍結されたり、
株の売買が停止される可能性もある。
国際通貨である香港ドルは米ドルにリンクしているため、
これまで米ドルと同じく、信用度の高い通貨だった。
しかし、ここへ来て、市民の人たちはこぞって、
香港ドルを売り、米ドルなど別の通貨を買い始めた。
僕の給料は全て日本の口座に日本円で支給されるので
問題はないだろうと思って悠長に構えていたら、
香港上海銀行のユニット株を香港ドルで保有していた。
これは、2000香港ドル分の香港上海銀行の株を、
毎月買い続けてゆくというもので、15年ほどやっている。
2000香港ドルは口座から自動的に引き落とされる為
自分でも毎月株を買っているという意識は無く、
老後を過ごす貯えになれば、くらいの気持ちでいた。
※2000香港ドル=約28,000円
しかし、香港ドルがいつ崩壊するやも知れず…、
という状況の中、僕の心はざわついた。
すぐに銀行へ行き、株を解約して米ドルに換金するか、
それとも、一時の変動に迷わされず、このまま毎月、
2000香港ドルで株を購入し続けるか、迷ったのだ。
エドワードに訊けば、すでに生活費以外の現預金は、
全て米ドルに替え、英国系の銀行へ移したという。
もう一人の日本人に訊けば、
私立に通う二人の子供の学費の支払いが大変すぎて、
心配になるような財産なんか無い、と言われた。(笑)
とりあえず仕事を抜け出し香港上海銀行へ行ってみた。
プレミア専用の待合室でアドバイザーの順番を待つ。
ソファに腰を下ろし、向かいの中国銀行の方を見れば、
中国系の銀行を信用できない人々でごった返していた。
規制がかかる前に預金を引き出そうとしているのだ。
この世界は夢で、起こってすらなく、故に罪も恐怖もない
と真に理解していたとしても、お金をどう管理するか、
子供をどの学校へ入れるか、支払いをどうするか、など、
肉体を持って夢の世界にいる僕たちは、それでも、
毎日の日常の中で様々な決定をしなければならない。
こんな時、起こってない、世界は無い、とやってしまうと、
僕の場合、何も決められなくなってしまうので、
先ずは、今への抵抗をやめ、沈黙するようにしている。
と、そんな感じで順番を待っていたとき、
「あ、俺、今、金銭(=神の平安)を失うことを恐れている」
と思った。 恐れているから、迷っているのだ、と…。
自分は間違った解釈をして、間違ったものを感じている。
とりあえず、沈黙する。
解釈して感じるのではなく、沈黙することで感じる。
僕の中の〝本当に無い〟ことを知っている聖霊と在る。
やがて、この恐れも神の愛の想いだったことが
思い出されてきた。
神の想いを、金銭の喪失への恐れ、に〝解釈〟している。
で、神を思い出したら、また沈黙(=抵抗しない)。
名前を呼ばれ、アドバイザーの個室に通された。
女性アドバイザーに笑顔で迎え入れられた。
香港ドルの株を持っているのが不安なので…、と、
今日ここへ来た目的を彼女に話した。
彼女は僕の口座情報が映るPCの画面を凝視しながら、
解約すると15万香港ドルほど損をしますね、と言った。
だが、もうこの時の僕は、神の愛の流れの中にいたので
恐怖から株をどうにかしようという考えは無くなっていた。
ただ、アドバイザーの〝ように見えている〟聖霊と在った。
「じゃあ、先ず、お客様のスマホに、
株を売買できるアプリをインストールしましょう。
そうすれば、わざわざ銀行へ来ることも無いし、
自分が一番納得できるタイミングで売買できますよ。
今、手放したら、15万ドルも損をした、と、
後で必ずモヤモヤすると思いますから。
それに、ユニット株は、長期で持ち続けることで、
価値が出てくるんです。
あなたは毎月2000香港ドルで株を買い続けてますが
底値になったら、その分多くの株数を購入できるので、
長期的には得なんです」
多分、僕の口調に躊躇が見て取れたのだろう。
これからは、毎日スマホのアプリで、
香港ドルの動向を見ながら、
ここぞ、と自分が思えるタイミングで手放せばいい、
こうアドバイスしてくれた。
さっすが僕のアドバイザー(兄貴)、よく見抜いている。
それから、アプリをインストールしてもらい、
使い方を丁寧に教わってから、銀行を後にした僕であった。